Catalytic Mechanism of GH6 Cellulases Revealed by Visualization of Hydrogen Atoms Through Neutron Crystallography
Mikako Tachioka, Sora Yamaguchi, Shigeru Deguchi, Masahiro Samejima, Kiyohiko Igarashi · Bulletin of Applied Glycoscience · 2024
糖質加水分解酵素(GH)ファミリー6は立体反転型のセルラーゼで構成されるファミリーである.一般塩基触媒(Base)が決定できない長い論争の期間を経て,現在では水分子ネットワークを介する反応機構(Grotthuss機構)が,GH6を代表する反応機構として認知されている.しかしながら,中性子構造解析によって水素原子の可視化を試みた結果,Grotthuss機構を支持するような水分子の配向や水素結合ネットワークの形成は確認されなかった.一方,一度はBaseとしての役割を否定されたアスパラギン酸については,隣接するアルギニンが一部脱プロトン化していることが明らかとなった.これは,アスパラギン酸とアルギニンのペアがプロトンを1つ失った状態で存在でき,Baseとしての役割を果たせる可能性を示している.本稿では,GH6のBaseに関する議論を整理し,中性子構造解析で新たに提案されるアルギニンを介した反応機構について論じる.