About the Usage Tendency of "Kizuna" that Appeared in the Corpus : As a Preliminary Survey of Semantic Analysis

Chieko Mizuno · The Korean Journal of Japanese Education · 2021

本稿は、調査対象である「絆」という単語対するものの見方がどのように社会で反映されているのかを研究していく上での予備調査であり、コーパスを用いて言語使用の実態について考察したものである。研究をすることになったきっかけは、この単語の使い方に対する質問が日本語学習者から寄せられたことにある。「絆」という単語は、3.11東日本大震災という未曾有の出来事が起きた2011年に、今年の漢字や流行語にも選ばれている。震災以降多くの人に浸透しているステレオタイプの意味としては、やはり災害と密接した印象がある。また、使用の傾向については辞書的な意味を調べてもわかりやすく記述までされていない。よって、実例を例文として普遍的な使用傾向の分析が可能であるコーパスを使うという方法を選んだ。分析に使ったツールは、現代日本語書き言葉均衡コーパス少納言とNINJAL-LWP for BCCWJである。共起パターンの調査は、文法的な品詞パターンと、「絆」の対象と内容を分析していくことである。ここでわかってきたのは、「絆」の前後文脈で、最も多いのは全体51%と大半を[絆+助詞+動詞]というパターンが占めていたということである。そして、誰との「絆」なのかという対象における分析においても、親族·身内関係が全体の44.6%を占めており、「絆」は深めないといけないもの、強いものでありたいというものの見方が反映していると同時に、地域·恋人·友人·ペットなども「絆」の対象として捉えるメンタリティーを日本人はもっていることがわかった。また、辞書的な意味だけでは、親族·家族のほかに、地域·恋人·友人さらにはペットや目に見えないものにまで「絆」の対象として使われるという記述がされていないために、外国人日本語学習者にはわかりづらいことがわかった。また日本人の持つ「絆」に対する考え方として見えたことは、3.11以降に流行語になったのは、親族だけを「絆」の対象としているわけではなく、本来、地域社会に対する「絆」も認識していたからではないかということである。今後の課題としては、日本社会と人々の意識に浸透している「絆」に対するものの見方が社会でどのように反映されているのかを、さらに深く絆の意味に対するものの見方を分析することである。これらをもって、教育現場では効率のよい単語の使用傾向に対する教育が可能となり、日本語教育の助けとなるであろう。

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