Rheological Analysis of the Moist Feeling of Lipsticks
Nobuo Namiki, Kensuke Yoshida, Masashi Shibata, Koichiro SUZUKI, Yoshiyuki Nabata · Journal of the Japan Society of Colour Material · 2005
しっとり感は口紅の仕上がり性能を評価する際に最も広く用いられている用語の一つである。しかしながら, 口紅の物性としっとり感の関係はいままで明らかにされていなかった。われわれは, ユーザーインタビューの結果から, しっとり感は口紅が塗布された直後に唇をすり合わせるなどの動作を行った場合に最も強く知覚されるということを見いだした。つまり, 唇上に塗布された口紅塗膜の力学的な物性とユーザーが感じるしっとり感の間に何らかの関連があるのではないかと推察される。そこで, 練った状態の口紅の動的粘弾性の解析を行った。種々の市販口紅の中で, しっとり感に優れていると評価されたものは, 動的粘弾性測定のtanδパターンに特有のピークが生じる傾向がみられた。また, このピークの強度は, 口紅のワックス組成を変えることによって上昇させることが可能であり, ピーク強度が上昇するに従ってしっとり感のスコアも向上することが確認された。これらの結果から, 口紅のしっとり感を改善するために, このピークが定量的な指標の一つとして活用できるものと考えられる。