Effective Use of Target-side Context for Neural Machine Translation
Hideya Mino · Journal of Natural Language Processing · 2021
本稿では,COLING2020 に採択された論文である "Effective Use of Target-side Context for Neural Machine Translation" (Mino et al. 2020) を解説する.採択論文の概要に加え,提案手法 を思いつくまでの流れなどを交えて解説する.採択論文は文脈を考慮した機械翻訳に関するも のである.従来の機械翻訳システムの多くは文単位で独立に翻訳を行うことが多いが,単文が 持つ情報だけでは適切な翻訳を行えない場合がある.例えば,単文翻訳では訳語を統一して翻 訳することが難しくなる問題がある(訳語の統一の問題) .ある文で "東京ディズニーランド" と書かれているにも関わらず他の文で "TDR" と書かれている文書は良い文書ではないであろう (同じ表現を繰り返して使わない方が良い場合もあるので,一概には言えない問題である) . 「で すます調」と「である調」が混在するような文末表現が統一していない文書も良い文書とは言え ない.単文の持つ情報だけではこれらの表現を統一することは難しい.また,単文翻訳では曖 昧性のある表現の翻訳が難しくなる問題がある(語義曖昧性解消の問題) .有名な例であるが, "I go to the bank."という英文を日本語に翻訳する場合,"bank" が "銀行" なのか "土手" なの かこの文だけで判別して翻訳することは難しい.他にも,日本語などに代表されるゼロ代名詞 が含まれる言語の翻訳ではゼロ照応解析が必要となるが,単文の情報だけでは文を跨いだゼロ 照応解析は行えない(ゼロ照応解析の問題) .これらの問題は,文脈情報を使うことで解決でき る可能性があり,多くの先行研究が存在する.文脈を考慮した機械翻訳に関する先行研究を知 りたい方は Maruf et al. (2021) の論文を参照されたい.採択論文では,これらの既存手法の中 から目的言語側の文脈情報を用いた機械翻訳 (Bawden et al. 2018) に着目した.Bawden et al.