A Context-aware Map Synthesizer: design and implementation
Takashi Saruwatari, Yoshihide Hosokawa, Naohisa Takahashi · 2003
In this paper, we present an implementation method of a context-aware map synthesizer. The main features are as follows. (Feature-1) Our system realizes a visual programming language (space filter) for transforming a map according to a user’s context. (Feature-2) Our system also realizes a mechanism for locating objects in the transformed map. Our system makes it possible to construct various context-aware maps by applying several metaphors like fish-eye views and rakes. We clarify feasibility of our system by some experiments. Keyword GIS,Spatial Information 1. はじめに 近年のモバイル・コンピューティング技術の発展・ 普及に伴い,地図を対象とした情報処理技術の確立が 重要となっている [1]. 本稿では,数値地図を建物や道路などの基本的なオ ブジェクトに分解し,ユーザの利用目的や興味対象に 応じてそれらを再合成するシステムを提案する.提案 システムは,そのような情報処理技術の確立に貢献す るものである. 提案システムの主要な特徴として,空間の連続性を 保った任意のゆがみを統一的に記述可能な空間フィル タを実現していること,空間の変形に応じたオブジェ クトの合成制御機構を実現していることが挙げられる. これにより提案システムではユーザの状況に応じ て表示するオブジェクトの選択・強調を行うことが可 能になる.例えば地名のみを強調表示し,それ以外の ものを隠した地図を合成することが可能になる.さら に空間フィルタを用いて,虫眼鏡や手繰り寄せなどに よる,ユーザの状況に応じたゆがみのある地図の再合 成が可能になる.例えば,現在地から目的地への経路 と目的地周辺の詳細を同時に確認できる地図を合成す ることが可能になる. 2. 関連研究 近年,地図を対象とした情報処理技術の研究が広く 行われている.本節では,関連研究と本研究との比較 を行うことにより,提案システムの実現価値を明らか にする. 地図の変形機能の実現方式に関しては,文献 [2,3]は, 魚眼レンズ状の空間変形機能を示している.文献 [3] では地図への適用も議論している.ここでは焦点を指 定し,焦点からの距離に応じて遠ざける距離を計算し て空間の変形を行うことで,焦点の周りを魚眼レンズ を通して見たように空間を拡大することを可能にして いる.それに対して提案システムでは,描画範囲に配 置したメッシュの各格子点という,多地点に対する空 間の変形量を指定することを可能にしている.これに よってユーザの状況に応じた任意の変形が可能になる. 具体的には,レンズ状の拡大だけではなく,元の描画 範囲の外にあった空間を手繰り寄せるような操作を空 間の変形として指定することが可能になる.また,多 地点に対する変形量の指定を行うために,変形の効果 を確認しながら行えるインタラクティブな空間変形操 作を可能にしている. 地図中のオブジェクトの選択機能の実現方式に関 して,文献 [4]はオブジェクト間の共起関係に基づいて, 選択されたオブジェクトだけでなく関連性の高いオブ ジェクトの選択を行うシステムを示している.それに 対して提案システムでは空間変形とオブジェクトの選 択を連動させ,空間変形に応じてオブジェクトの選択 を行い,その変形を行う. また,略地図生成の分野では,略地図生成のための オブジェクトの絞込み機能 [5]-[8]や道路の整列・近似 手法 [9]が示されている.ここでは最適経路の探索を行 い,その経路に隣接した道路や案内の目標物の選択・ 強調が行われている.また略地図の視認性を高めるた めに,道路の水平垂直方向への整列,道路形状の折線 による近似が行われている.それにより目的地までの 経路とその目標物を強調した地図の生成が行われてい る.それに対し提案システムでは,経路選択は行わず, ユーザの要求に応じて経路およびその周辺を空間変形 によって強調するための機能を実現している.ここで は経路から外れた情報も省略せずに小さく表示するの で,経路から外れた場合などにも経路との位置関係の 把握が容易な一覧性の高い地図の生成が可能になる. オブジェクトの再配置機能の実現方式に関しては, 文献 [10]はオブジェクト間に圧力の概念を導入してオ ブジェクトの衝突をさける再配置の手法を示している. また,文献 [11]はオブジェクトの衝突数が最小になる 位置を探して再配置する手法を示している.提案シス テムではオブジェクトの配置は,空間変形によって定 まる位置に機械的に配置しており,衝突の検出は行っ ていない.しかし,本研究で行う空間変形やオブジェ クトの選択によるオブジェクトの配置と,文献 [10], [11]のオブジェクトの再配置の機能は直行した概念で ある.従ってそれらを組み合わせ,提案システムによ る空間変形の処理結果にそれらの再配置技術を適用す ることによって,さらに効果的な地図の表示が可能に なる. 地図描画以外の機能を実現するシステムとして,文 献 [12]は地名から緯度経度への変換を行うためのアル ゴリズムを示している.文献 [13]では生成した略地図 のデータをもとに案内文を生成する方式を示している. また,文献 [14]は,逆に日常で扱われている略地図を 計算機上で表現し,正確な地図データとの対応づけを 行う方式を示している. 3. 提案システムの実現方式 提案システムはユーザの状況に応じた地図を合成 するために次の3つのデータを扱う. 地図データ オブジェクトとそれを構成するエレメントからな る.エレメントは線や記号などの地図画像の構成要素 である.オブジェクトは人が地図上で認識する要素を 表す.オブジェクトの例として道や建物などがある. オブジェクト優先度:ユーザがその状況に応じて与え る各オブジェクトの描画条件 空間フィルタ:ユーザがその状況に応じた空間の優先 度を記述するフィルタ 提案システムは,地図データに対して空間フィルタ 図 1 提案システムの全体構成 オブジェクト エレメント オブジェクト 優先度 地図データ 空間フィルタ